プリキス!!
絶対絶命。
カラフルさん達は固唾を呑んで見守り、熊の遊佐さんは迫ってきて。
焦った私が対抗した手段は……
「うっ……!?」
「喰らえ!乙女の一撃!」
男の急所に膝蹴りをし、そのまま右手で思いっきりビンタという護身術だった。
『初伊、世の中にはね、“変態”が溢れてるのよ。万が一の時の為に、お姉ちゃんが護身術を教えてあげるわ。』
『右ストレートは俺が教えてやる。』
ありがとうございます、幼き日のお姉ちゃんとお兄ちゃん。
役に立ったようです。
「ってぇ……何すんだ、てめぇ!」
「乙女の純情、奪おうとするのは重罪だ!」
涙目で屈む遊佐さんをキッと睨む。
「いい?まずは人の話を聞いて。私はあなたが好きって言った?言ってないよね?
だって私、クールな顔して実は純情なのが好きなんだもん!」
いつぞやかに、恵にも言った気がするその言葉を彼にぶつける。
「大体ね……出会って数分の人にキスしようとするとか、わいせつ罪で逮捕されればいいんだ!
俺様なのは王道だけど、現実じゃ許されないんだよ!」
漫画じゃモテるキャラは、現実では好まれないのがセオリーだ。
ヤンデレしかり、腹黒しかり。
そんなのも分からない野郎が、俺様を語るな!と怒りがふつふつと湧いてきた。
怒ってるのは遊佐さんも同じみたいだ。
そりゃ、子分の前で、女の子にボコられたら怒るだろうけど。
「うるせぇ!とんだ暴力女だな!外見詐欺だろ!」
「詐欺って……勝手に想像して、勝手に騙されたのは遊佐さんでしょ?!私は元からこんなのだよ!」
「うるせぇよ!俺を殴るとか……許さねぇ。」