プリキス!!
かなりの時間走っていた気がする。
体力の限界を感じて、路地裏に入った。
しばらくはあいつらに見つからないはず。
少し休んでから、もうちょっと遠くに逃げよう。
出来る事なら応戦したいけど、熱が収まりそうにない。
こんな状態で戦って、負けましたなんて笑えないから。
大きなゴミ箱とゴミ箱の間に、人一人が入れそうなスペースがあって、そこに僕は隠れる事にした。
ようやく落ち着いたのか思考が動き始めて、
ふと、東校連盟のヤンキー達は無事だろうかと考えた。
特に……蛍。
喧嘩が出来ないのに、“副総長”なんて大きな看板を背負ってるんだから、遊佐達に狙われるに決まってる。
骨折程度で済めばいいけど……。
(そもそも、もう裏切ってるかも。)
蛍が僕の側に付くなんて確証はどこにもないのに、頭の中では蛍は味方だと考えてしまっていた。
だって、僕に半ば強引に副総長にされて、いつも理不尽な扱いをうけて。
どうして味方でいると言える?
誰を信じていいか、もう分からないよ。
広い世界に、一人だけ。
一人ぼっちな気がした。