プリキス!!
「東麻君……。」
ようやく声を出した彼女。
なぁに?と優しく問いかける。
「怖かった」とか、来るんだろうな。
そう予想してた。
「取り敢えず今、一番言いたい事は、病人は黙って寝てなさい。」
「……ん?」
ちょっと不満そうな口調で、彼女はそう言った。
思いっきり予想は裏切られたのだ。
話始めても、未だに俯いたままの初伊ちゃん。
ちょっと励ますつもりで頭を撫でれば、「橘がフラッシュバック……」とかなんとか言ってた。
「東麻君……なんで家出てったの?具合、悪いんでしょ?」
「お陰様でもう良くなったよ。」
そう答えると、ゆっくりと顔をあげた彼女。
ほんのりと目が赤く、少し潤んでるその瞳から、やはり泣いていたというのが分かった。
透き通るような白い肌で構成されている細い腕が伸びてきて、僕の髪を掻き分ける。
そしてひんやりとしたその手は、額に触れた。
「嘘つきは泥棒の始まりです。」
「ごめんなさい……?」
まあ確かに、熱は下がってはないだろう。
でも、本当に楽になった気がしたんだよ。