プリキス!!
僕の事なんてどうでもいいよ。
「ごめんね。怖かったよね。」
気遣うべきは、初伊ちゃんの事。
いくら西や南と仲がよくたって、この子は一人の女の子だ。
こんな綺麗な肌に傷を残しちゃいけないし、殴られる機会なんてあるわけない。……トラウマになっちゃったかもしれない。
その責任は、中途半端に東の抗争に巻き込んじゃった僕にある。
土下座してって頼まれたら、してもいいよって位には申し訳なく思っていた。
でも何故か、
初伊ちゃんの顔にはハテナが浮かんでいて。
「怖かった……って、何が?……あ、遊佐さん?」
キョトンとした顔で、思い出したかのように遊佐の名前を出した。
まるでさっきの事なんてなにも気にしてないみたいな彼女の様子と、涙の理由が一致しない。
「泣くほど遊佐が怖かったんじゃないの?」
「泣いてない。」
「……嘘つきは?」
泣いたであろうことは割とバレバレなんだけど、気づかれたくないと思ったのか、さらりと嘘をついた初伊ちゃん。
さっき“嘘つきは泥棒の始まり”と自分で言ってしまったせいもあって、僕が嘘を言い当てると、「うーー」と彼女は唸っていた。