プリキス!!




しばらくの沈黙の後に、彼女が言うことには。



「遊佐さんは、怖くない。怒った時のお姉ちゃんの方が100倍怖いよ。」

「殴られそうだったじゃん。」

「殴られたら殴られた時かと。」



なんだか超男前な考えをしている初伊ちゃんに、脱力。

そういえばこの子、えれなちゃんにビンタをかまし出すほどには強い子だったと思い出す。




「……じゃあなんで?」



だからこそ気になった。

そーんな強い女の子が、どうして涙を流したの?って。



それを聞けば、ボソリと彼女は呟く。




「東麻君が……。」

「僕が?」




何か……したっけ?

少なくとも、泣かせるような事した覚えはないんだけど……。


頭の中で自問自答しながら、彼女の言葉の続きを待った。




「心配だったんだもん。……あれから怪我もしてないみたいだったし……良かったって……。ホッとしたら、涙が出ちゃった。」


恥ずかしいから言いたくなかったと、また彼女は俯く。




何それ……。

何それ……すごい、嬉しい。




「東麻君?」


なんの反応も返ってこない事を心配したのか、顔をあげた初伊ちゃん。



「ばか……。」




僕はふと、顔を逸らした。

だってきっと、赤くなってるから。



やめてよ。

このままだったら、西巴君の事、笑えなくなっちゃうじゃん。






美琴side end









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