プリキス!!
魔法の鏡
「はい、出来たよー。」
ベッドに入って上半身を起こしている東麻君の元に、私は作りたての卵粥を運んだ。
キッチンを借りて、冷蔵庫にあった材料で作った簡単なものだけど、体が温まってきっと風邪に効くはず。
「……おいしい。」
東麻君は粥を一口食べてそう言った。
自分の作ったものをそう言ってもらえるのは凄く嬉しくて、つい口が綻んでしまう。
「外の遊佐さん達、ここまで来ないかな。」
「大丈夫。このマンション、顔認証だから。」
東麻君に聞くつもりじゃなくて、独り言のように呟いた言葉だったけど、安心の答えが返ってきた。
外は本格的に暗くなってきた。
いつまで遊佐達は張り込む気なんだろうか。
「……初伊ちゃん大丈夫?遊佐が外にいるかぎり出れないよ?」
「うん…………はっ!!」
ふと気になってスマホを見た。
もしかして、心配したお兄ちゃんから電話が掛かってきてるかもって。
《不在着信 102件》
画面のその文字を見た瞬間、サーと血の気が引いたよね。
「ちょっと電話していい……?」
東麻君に断ってリダイヤル。
そして安定のワンコールだ。