プリキス!!





「何処で何してる。」

「千苑さんと有原さんとお茶してますの。クラスメイトですわ。」




電話に出たオニーサマ。

ちょっと声色的に不機嫌だ。

そりゃあ102回も電話をかけたのに出なかったら不機嫌にもなるよね。

ごめん、と心の中で平謝りだ。



東麻君といると言わなかったのは、流石に言えなかったから。

お兄ちゃんは、家出中もGPSや盗聴器を隠すってくらいに過保護だったけど、仲直りしてからまるで父親のよう。


南でもヤンキーさん達と一緒にいると、「妹に近寄るな」とヤンキーさん達に睨みをきかす。

ちなみに近寄っていったのが私の時は物凄く申し訳なくなる。


だからきっと南ではお兄ちゃんは凄いシスコンだと勘違いされてると思うよ。



まぁとにかくだ。

そんな過保護っぷりを見せてるマイブラザー。

東麻君といるなんて知れたらあとが怖い。



クラスメイトの女の子の名前を出して、どうにか誤魔化そうとした。



「千苑聡子と在原薫か。」

「……何でフルネーム知ってるんですか?」

「お前のクラスメイトは把握済みだ。」



───が、予想以上に過保護の方法が斜め上に行ってる烏丸吉良君。

「うふふお兄様ちょっと気持ち悪い。」と反射的に返してしまった。








「で……彼女達といるというのは本当か?」


「ええ。少し、女子トークがフィーバーしまして、もしかしたらお泊りになるかもしれませんの。お姉様にそう伝えて下さる?」


「GPSによると、そこは東区のマンションだな?まさか、東麻といないよな?」


「いるわけないじゃないですか。……それよりも、またGPSですか?何処につけました?」


「お前の靴の裏だ。全てにつけている。」


「そろそろ嫌いになるよ、お兄ちゃん。」

「待て。これはお前が危なっかし」



ブチ、と画面に指を突きつけんばかりに“通話終了”を押す。





「今の……まさかの吉良君なの?」と話が聞こえてたんだか聞こえてなかったんだか分からないけれど、

超引き顔の東麻君にそう聞かれた為、「残念ながら兄です」と答えた。




< 286 / 422 >

この作品をシェア

pagetop