プリキス!!
「ねぇ、初伊ちゃん。人ってどうやって信じるんだっけ。
……ああ、信じ方を忘れちゃったんじゃなくて、元々知らなかったのかもしれないね。」
「元々知らなかったって……そんなこと……。」
「あるんだよ。」
僕の話に付き合ってくれる?と言う東麻君に、肯定の言葉を返せば、何処か遠くをみるように彼は話始める。
「東麻組現組長、東麻千鳥には妻がいた。」
「いる、じゃなくて……?」
千鳥さんには、奥さんがいるはずだ。
確か、沙織さん。
一度烏丸邸に来たことがある。
笑顔が可愛い人だった。
「あ……もしかして沙織さんのこと?」
「うん。」
沙織さんと東麻君の関係は、親子だと思っていた。
けれど“沙織さん”と言う呼び方で、悟る。
二人の関係を。
「沙織さんは、後妻さん。前の妻……僕の母親だった人の名前は鈴子。」
鈴子さん、と彼の言葉を繰り返せば、「“さん”なんてつける価値はない」と彼はひどく冷めた口調で言う。
「そいつはね、死んだんだ。
千鳥さんが命令を出して、組員に殺させた。」
「千鳥さんが……?」
「初伊ちゃん、千鳥さんと知り合いだったんだ?……あのね、千鳥さんは悪くもないし、僕も千鳥さんの事を恨んでなんかいないんだ。殺されたのは、あの女の自業自得。」