プリキス!!






思いっきり吹き出した。

え?

何?

私の耳がおかしくなければ、本日2回目の“姫”にスカウトされなかった?!




咳き込みながら東麻君の方を見れば。

「ごめんね……この間、散々な事しておいて言える筋合いないよね……。」


さっきの満面の笑みとは一転。

しゅんと俯いて、今にも泣きそうだ。




しかもそんな東麻君の頭に、力なくへにゃりとしぼんだうさぎ耳まで見えてきた。

弱いものいじめをしている気分になってきたぞ。




「初伊ちゃんと仲良くしたい……」と呟いたうさぎさん。

そんな東麻君に、友達になれないなんて言ったら……可哀想すぎるし、良心が痛い!!




「転校は出来ないし、姫にもなれないけど、仲良くしようよ!友達!ウィーアーフレンド!」




半ば叫ぶように東麻君にそう言えば、彼はぱあっと顔を輝かせた。




「じゃあさ、僕と初伊ちゃんは友達?!」

「そ、そうだよ。」



飛びついてきそうな勢いで言う東麻君に圧倒され、私はちょっと物理的に距離を取ろうとした。


─────が。




「ぎゃあっ!」



飛びついてきそうという表現は、かなり的確だったらしい。

彼は、飛びついてきた。

布団の上から、私のいるフローリングの上まで一直線だ。

< 293 / 422 >

この作品をシェア

pagetop