プリキス!!
押し倒されそうになるが、腹筋の力でどうにか立て直した。
両手を床について体を支え、すぐ近くに迫る東麻君の顔を見る。
あれ……?
さっきまで、あんなにバッチリ見えていたうさぎ耳はもう見えない。
何やら妖しく笑う東麻君。
何でさっきうさぎさんに見えてたのか分からないくらい、可愛さとは程遠いよ……?
「東麻君……どけて?」
「美琴って呼んでくれたらどけてあげるーっ。」
渋っていると、私の体に巻き付かれた手は、ぎゅうっと更に強さを増した。
要するに、更に密着したってこと。
うさぎさん東麻君に抱きつかれても、全然危なくないって思ってたんだけど……
何かおかしい。
恵に抱きつかれたとき同様、貞操の危機を感じるんですけど。
「みっ……美琴、退けて!」
「やっと呼んでくれたね。」
呼びました。
呼びましたとも!
なのに、東麻君改め美琴は退けてくれない。
「ほら、美琴!約束したじゃん!」
「でもー、初伊ちゃんと僕はもう、名前で呼び合う友達でしょー?」
じゃあ抱きつく位のスキンシップは当たり前じゃん、と。
理屈を捏ねる美琴に、一発頭突きをお見舞いしてあげましたとさ。
その後、蛍君が美琴の部屋に来た。
下の遊佐さん達は皆倒したらしい。
蛍君に家まで送ってもらって、お兄ちゃんがGPSの件を謝ってきて。
そうして濃い一日は終わりを告げたのだった。