プリキス!!
美琴side
「せんぱーい、帰りましたよー。」
「お帰り。」
初伊ちゃんを家まで送り届けてきた蛍。
本当は僕が行きたかったけど、蛍と初伊ちゃん二人に「寝てなさい!」と怒られた為、部屋で留守番してたのだ。
遊佐派の奴らはさっき。東に連れて帰られたらしい。
処分は取り敢えず後日。僕の回復を待ってから、と決まった。
まぁ、初伊ちゃんを殴ろうとした遊佐には百パーセント甘い処分じゃ済まさせないけどね。
「あ、そうだ。蛍にお礼言っておこうと思って。」
「何がっすか?」
「“無理なお願い”をしてから“本当のお願い”を言えば、大抵OKしてくれるんだよね。それから、なんだっけ。“たまには弱った姿を見せるべし”?」
食器を洗ってくれようとした蛍は、キッチンに向かっていた。
が、しかし。
僕のその言葉で足を止め、勢い良く振り返った。
「それっ……俺の……っ!美琴先輩、見たんですか?!」
「役に立ったよ。」
そう。
前に蛍の家で偶然発見し、こっそり読んだそれは、いわゆるハウトゥー本。
“女の子の心を掴む!彼女が欲しい人必見!”みたいな見出しがついていた気がする。
「先輩みたいなモテる人は見ないで下さいよ!俺は先輩のせいで彼女出来なくて必死なんですから!」
そう言えば、蛍に言い寄ってきた女の子をちょっと口説いて、遊んでいた事もあったっけ。
でも……
「もう女遊びはしないから、安心しなよ。」
もうしない。
というか出来ない。
大好きになっちゃったんだ。
瞳に海を持つ、優しくて、強くて、可愛いあの子が。
初伊ちゃん。
君が信じてみようよって言うなら、僕は信じてみてもいい。
君が手に入るんなら、この大嫌いな“可愛い顔”を利用したって後悔しない。
だって、僕はもう君に笑えるくらい首ったけで。
君といるだけで、馬鹿みたいに幸せなんだから。
西巴君にも、南城君にも絶対渡さない。
ねぇ、僕を惚れさせたんなら、覚悟しておいてね?
美琴side end