プリキス!!
後日談:南×東×不本意ながらカナン
夕方の景南高校。
一般生徒立ち入り禁止の区域には、
大勢のヤンキー達と、人形みたいに綺麗な副総長。
そして、見るもの全てを魅了する、総長様がいるそうな。
「あの……夜白。やっしー。」
「あ?なんだ、そのフランクな呼び方。」
「いや、あの、何やってんの?」
まさか総長様が、一女生徒の髪を真剣にいじってるとは誰が思うだろうか、いや思うまい(反語)。
「編んでるんだよ。」
うん、それは見れば分かるんだけどさ。
夜白はコームとヘアゴムを手に、私の髪をさっきからイジイジしてる。
私は嫌じゃないしいいんだけど、やっしー……総長の威厳とかさ……大丈夫?
何か言いづらそうに、一人のヤンキー君が近寄ってきた。
ほら、やっぱり─────
「忙しそうなところすみません。総長、アオちゃん。これ貰い物のクッキーなんですけど、食べません?」
「後で貰う。初伊は?」
「あ、頂きます……。」
……。
総長の行動は、スルーかい!!
そして、クッキーありがとうございます!
キョロキョロと周りを見渡してみれば、誰も夜白の行動なんか気にしていなくて、皆が皆好きな事をしてる。
全世界のヤンキーが皆穏やかかって言われると分からないけど、陰飛羽のヤンキーってヤンキーらしくないよね。
「おい。頭動かすな。」
「ごめんなさーい。」
せっせかせっせか編み続ける夜白。
完成形は何か聞いたら、“編み込み”と返ってきた。
暫くして、“動いていいぞ”と声が掛かったので、振り返って夜白を見れば。
ちょっと上機嫌な彼。
口角を上げて、目を細めて完成したらしい私の髪を見ている。
「吉良ぁ。どうだ?」
奥で本を読んでいたお兄ちゃんに声を掛けた夜白。
お兄ちゃんは本を読む手を休め、私の髪を見た。