プリキス!!
“あっちに行ってろ”と、そう口が動いたような気がして。
分かったよ、お兄ちゃん。
私が今すべきことは、部屋から一旦避難する事だね。
音を立てないように、忍び足で後退する。
ススス、ススス……と実は私は忍者の末裔もしくはマイケルジャクソンなんじゃないかと思うくらい、いい感じにバレずに部屋を出つつあった。
幸い、夜白も美琴も睨み合いをしていて私に気がついていない。
ちょっと南校ヤンキーズに、“何やってんだ”という視線を向けられてるだけだ。
要するに目立ってない。
このまま、部屋を出ていくのは雑作もないことだった。
余裕でこのブリザードから逃げられた。
─────はずだった。
「初伊?何処に行く?」
まさかまさかで出ていく私に声をかけたのは、お兄ちゃん。
お兄ちゃんのその発言のせいで夜白と美琴、それから蛍君の視線を浴びてしまう。
「お兄ちゃん……“あっちに行ってろ”って言ってくれたじゃん!なんでバラすのー!」
「そんな事は言ってない。“編み込みいいな”って呟いただけだ。」
「紛らわしい!」
うん……分かっていた。
お兄ちゃんは、天然だ。
そして、かなりのおとぼけさんだ。
お兄ちゃんと“秘密ごと”が出来ると思っていた、私が甘かったよね。