プリキス!!
「何故……!」
がっしりと肩を掴まれて、揺さぶられる。
お兄ちゃんの顔は、顔面蒼白と表現するのが相応しいくらいに真っ白……というか真っ青だ。
それは……うん、分かってる。
カナ女生……クイーンの妹が、今期一番凶暴と名高い東の総長と仲良くしていれば、焦りもするだろう。
「な……なんでこんな……東麻……。」
「お兄ちゃん、ごめんね。」
項垂れるお兄ちゃんに、かけるべき言葉は謝罪の言葉位しか見つからなくて。
「分かってるの。私と美琴や夜白……恵も、本当は関わったら駄目だって。お姉ちゃんにも迷惑がかかるかもしれないし、そもそもカナ女生として駄目だよ。……でも……。」
でもね、もう、離れるには近くなりすぎた。
カナ女生だから、クイーンの妹だからと彼等を切り捨てて得られる幸福なんて、欲しくないよ。
「無理みたい。“関わらない”なんて、出来そうにない。」
私は苦笑いを掲げて、そう言った。
部屋はシーンと静まっていて。
重々しい空気の中、お兄ちゃんは“違う……”と力なく呟いた。
「別に……そいつらとつるんでたって姉貴に迷惑なんて掛からない。掛かったとしても……そんな些細なことで負けるような女じゃないだろ。」
確かに、お姉ちゃんは強い。
一見儚そうなお嬢様でも、精神的攻撃でお兄ちゃんに勝てちゃう位強い。
俺が言いたいのは……と言葉は続く。
「こんな面倒な奴等だ。妹が……大事な妹が、いつか泣かされそうで嫌なんだよ。だから、近づいて欲しくない。」
お兄ちゃんは、真剣な顔で私を見る。
眉を少し寄せてじっと見つめるそれは、心配してる時の顔だ。