プリキス!!
「初伊ちゃんがいいならいいけど」と美琴は言って、そのまま話し続けた。
彼が言うには、遊佐派だった東校生は割と使えるらしく、要監視下に置いたものの彼らは今も東でヤンキーをやっているそう。
そうなんだ……と、呟く私に美琴は頭を下げた。
「み……?!」
ごめんね初伊ちゃん、と。
そう言って頭を下げる彼に、蛍君もお兄ちゃんも夜白も息を呑む程驚いて。
「東の総長として謝罪する。こっちのゴタゴタに巻き込んで……ごめん……。」
さっきとは違う意味で、静かすぎる空間。
「顔上げて」と言えば、彼の顔は素直に上がる。
「美琴、怪我とか熱とか大丈夫?」
「え、僕?……僕は、もうすっかり。」
確かに彼の言う通り、この間とは違って元気そうだし、
顔にはまだシップが貼られているけれど、きっとそれはこれから良くなっていくはずだ。
「美琴が無事なら良いよ。許しちゃう。」
許しちゃう〜なんて、言える立場じゃないけれど、
こんな静かすぎる空間にはちょっと位のお茶目は必要でしょう?
それに、本当に思うんだ。
美琴が元気なら、私は嬉しい。
だから、謝られる理由はないよね。
笑いかければ、きっと彼はいつも通りの笑顔で返してくれるだろう。
そうしたら、こんな暗い話はおしまい。
そう思って笑いかけたけれど、彼からは笑顔は返って来なかった。
むしろ美琴は項垂れていて。
「そう言う事……フツーに言っちゃうのが初伊ちゃんだよね………。」
ポツリとこぼしたその言葉の意味は、私は理解出来なかった。