プリキス!!





「女の子なんて、調子のいいものです。顔か金か学歴か。あっちに行ったりこっちに行ったり、条件のいいものを本能的に選ぶ薄情な人種ですよ。その子も、相違ないでしょう。」




そう言って、灰音のお気に入りを貶して貶めて。

半ギレ寸前のところで私は、こう言うんだ。



「見てきたらどうですか?その子の濡れ衣を、払拭してあげたいんでしょう?」




プルプルと彼の拳は震えて。

ドン、と思いっきりソファーを叩く灰音。



「やってやろうじゃねーの!」



真っ赤に怒って出ていく灰音を見て、私はにんまりと微笑んだ。

本当に、灰音は扱いやすいですよね。




灰音はきっとアオを見つけ出すだろう。

水南に行くなり、ツテを頼りにするなり、彼にはそれなりの手段があるから。


だけどそのアオが見つかるのは、まだまだ先のこと。

そう簡単に見つかるはずがない。

そう決めつけていた。




決めつけて“いた”。




ほんの数時間後、いわゆる放課後の時間帯の事。

私は一人総長室で書類の整理をしていた。



それは北原財閥に関する書類。

高校生ながら、実力は認めてもらっていて、それなりに仕事も貰っているのだ。



急ぎの書類を終わらせ、後はまだ期限に余裕のあるものだけが手元に残って。

暇だから、とっとと終わらせてしまおう。

私はコーヒーを片手に、それらにパラパラと目を通し始めた。




他の連盟に比べて北校連盟の本部は静かだと思う。

北校は、20年連続位で四校カースト最下位だ。

だからこそ、血気盛んな人はあまりいない。



争い事をあまり好まない彼らは、普段は温厚。

騒ぐ事なく、平和に陰飛羽生活を楽しんでいるのだ。



そんな感じで、静かな北校連盟なのだが。




「灰音さん?!」

「なっ……あんたまで総長みたいになっちゃったんですか?!」




どうにもこうにも騒がしい。




< 316 / 422 >

この作品をシェア

pagetop