プリキス!!
「女の子なんて、調子のいいものです。顔か金か学歴か。あっちに行ったりこっちに行ったり、条件のいいものを本能的に選ぶ薄情な人種ですよ。その子も、相違ないでしょう。」
そう言って、灰音のお気に入りを貶して貶めて。
半ギレ寸前のところで私は、こう言うんだ。
「見てきたらどうですか?その子の濡れ衣を、払拭してあげたいんでしょう?」
プルプルと彼の拳は震えて。
ドン、と思いっきりソファーを叩く灰音。
「やってやろうじゃねーの!」
真っ赤に怒って出ていく灰音を見て、私はにんまりと微笑んだ。
本当に、灰音は扱いやすいですよね。
灰音はきっとアオを見つけ出すだろう。
水南に行くなり、ツテを頼りにするなり、彼にはそれなりの手段があるから。
だけどそのアオが見つかるのは、まだまだ先のこと。
そう簡単に見つかるはずがない。
そう決めつけていた。
決めつけて“いた”。
ほんの数時間後、いわゆる放課後の時間帯の事。
私は一人総長室で書類の整理をしていた。
それは北原財閥に関する書類。
高校生ながら、実力は認めてもらっていて、それなりに仕事も貰っているのだ。
急ぎの書類を終わらせ、後はまだ期限に余裕のあるものだけが手元に残って。
暇だから、とっとと終わらせてしまおう。
私はコーヒーを片手に、それらにパラパラと目を通し始めた。
他の連盟に比べて北校連盟の本部は静かだと思う。
北校は、20年連続位で四校カースト最下位だ。
だからこそ、血気盛んな人はあまりいない。
争い事をあまり好まない彼らは、普段は温厚。
騒ぐ事なく、平和に陰飛羽生活を楽しんでいるのだ。
そんな感じで、静かな北校連盟なのだが。
「灰音さん?!」
「なっ……あんたまで総長みたいになっちゃったんですか?!」
どうにもこうにも騒がしい。