プリキス!!
「ちょっと平野。天みたいとは聞き捨てならない。天と同レベルとか本当にやめて。」
しかもなんか凄い貶されているんですが……。
一人部屋で苦笑いだ。
騒ぎの原因は、会話から察するに灰音。
灰音はさっき、やけになって部屋から出ていって、きっとアオを探す旅に出たんだろう。
そう思っていたんだけれど……何の騒ぎでしょうか?
書類を机に起き、立ち上がった。
扉を開けようとドアノブに手を掛けると、それは同じタイミングで向こう側から開けられて。
視界に入ってきたのは灰音───と、その肩に担がれる長い髪の……顔は見えないけれど間違いなく女の人。
何なんでしょうか、この不思議な光景は……。
「…………取り敢えず、その担ぎ方どうにかなりません?」
俵担ぎはいくらなんでも可哀想だろう。
言いたいこと、ツッコみたいことは山ほどあったがまずはそこを指摘した。
灰音は部屋に入ると、ソファーの上にその少女を寝かせた。
水南の制服を着たその子は、すやすやと眠っている。
「灰音って、拉致監禁をするようなタイプでしたっけ。」
女の子を見ながら唸るようにそう言えば、「違うから!」と返ってきて。
女の子を担いでいた方の肩に手を当てぐるぐると回している灰音は、「これだってさ」と女の子を一瞥して言った。
私は鈍くはない。
だから、灰音のその言葉はこの状況を理解するのに十分なヒントになった。
これが、噂のアオ。
どうやらこんな短時間で見つけたらしい。
「よく見つかりましたね。」
掲示板では、噂の少女はニックネームと学校名、そして容姿の特徴を挙げられていた。
それだけヒントがあれば身元が割れてもおかしくはないのに、写真も本名も出ていなかったと言うことは、
探すのは困難だということ……だと思っていた。
だけれども今、こうして彼女が目の前にいるのは
灰音が情報通で、それ故いとも容易く見つかったんだろう、と私はただただ関心していた。