プリキス!!
ゆっくりと隠されていた瞳を露にする彼女だったが、突然ガバリと勢い良く起き上がった。
「北原様?!」
目を見開いて、口をパクパクさせている様子から、かなり驚いてるみたいだ。
まぁ戸惑うのは当たり前だろう。
突然誘拐され、目覚めると目の前に北校総長。
有り得ない非日常だ。
私は、彼女の手を取って微笑んだ。
すると、彼女は顔を林檎のように赤く染めて。
暫く呆然とした様子だったけれど、ふと我に返ったようだ。
咳払いをして、話始める。
「あっ、えっと……ここは、何処、ですか?」
「北校連盟の本部です。詳しく言うと、北聖高校のすぐ近くにある倉庫ですけど。」
アオは水南の生徒だから、自分が北校にいると知って驚いたんだろう。
おろおろと、困惑しているのが目に取れる。
改めて彼女をよく見てみた。
確かに可愛い。
だけれども、日本人離れした瞳の印象が加わっても、先程とは評価は変わらなかった。
可愛い……が、ただそれだけ。
外見の面で言ってしまえば灰音の方が上だ。
何か遊ぶのには物足りなさを感じた。
……まぁ、いいでしょう。
ちょっとした事で、照れてくれるのですから、
からかい甲斐はありそうです。
「……ところで、貴女がアオだと伺ったのですが、アオは通り名ですよね。本当の名前は、なんと仰るのですか?」
「美蒼……鈴原美蒼。」
「美蒼……。素敵な名前ですね。」
ストレートに褒めてみれば、彼女は視線を逸らした。
そんな彼女を逃がすまいと、強引に顎に手を添えて、私の方に顔を向けさせる。
「ねぇ……どうして此処に連れてこられたと思いますか?」
じっと、その瞳を見て問う。
青い瞳にさっきまで甘えてきた白猫を思い出し、
チェーロより、深い色のブルーだなと思った。