プリキス!!
此処に座りなさい!と、
灰音は私と美蒼を床に正座させた。
「あんのさぁ……色々考えてくれない?!この子がもし本当にあの総長達に好かれてたら、天、殺られるよ?!」
「はい、すみませーん。」
「へ、ん、じ、が、軽い!!」
般若の如く怒る彼に、“副総長のくせに”と強く出れないのは、心配して怒ってくれているからだろう。
ツンデレさんですねぇ、と言いはしなかったものの、頭で考えていたら表情に出てしまったのだろうか。
「今失礼な事考えてるでしょ」とジト目で更に睨まれた。
ある程度私に怒った灰音は、ターゲットを変える。
可哀想に、灰音に圧倒された彼女は涙目で。
「あんたも!天くらい、軽くあしらいなよ。てゆーかあんたに言いたいことは山程ある!」
灰音は彼女を指さす。
ビシィッと、効果音が付きそうな位のそれに、彼女は怯えるようにビクリと体を強ばらせた。
「まず、そのブレっブレのアイライン、みっともない。あんたは元々目は大きいんだから、そんな太くライン引くなよ。むしろなくても良い。ない方がいい。
それから次に、そんなに簡単に正体をバラすなよ。西巴君達に言われなかった?北の北原天真には近づくなって。警戒心ないの?超イライラするんだけど。
……で、取り敢えず最後。……今からあいつら呼び出す事になると思うけど、良いよね。っていうか天、呼び出すつもりだよね?」
「ええと、はい。そのつもりです。」
早口で一息で言い切った灰音。
肺活量半端ないな、と。
それからよくもまぁそんなに悪口が出てくるなと、感心しながら答えた。
「あいつらって、まさか。」
段取りの話を始めれば、美蒼はゆっくりと、確かめるように……そして、そうであって欲しくはないように、灰音に“あいつら”を尋ねる。
美蒼の様子に気がついていないのか、何食わぬ顔で灰音は、さらりと核心に触れた。
「西巴恵、東麻美琴、南城夜白。あ、あと副総長達もどうせ来るよね。」
「呼び出すって……なっ、仲良いの?!総長って、仲悪いものじゃないの?!」
「仲は悪いですよ。北極並に冷えきってます。」
いや、寧ろ良いわけないですよね。
仲が良い四校総長なんて、考えるだけで寒気がし過ぎて凍死します。
「じゃあ何で呼び出すの?!」
「面白いからです。」
私ははっきり、笑顔で言い切った。
面白いから。
それ以外に理由なんて何一つない。
美蒼の顔が引き攣ったのを見た。
「私は帰って……」
「駄目。あんたは人質なんだから、奥の部屋で待ってな。」
「え、ここじゃだめなんですか?」
「お前のせいだよ、年中発情期。妊娠させられたくなかったら、奥の部屋で静かにしてな。」
美蒼は渋々、というか強引に、灰音に引っ張っていかれた。
奥の部屋は物置だけれど、几帳面な副総長のおかげで埃1つないから快適だろう。
「天、皆の所に行ってて。」
「はい、分かりました。」
灰音の指示に従って、私は大ホールまで向かう。