プリキス!!
大ホールに入った途端、わっと北校連盟の生徒達に囲まれた。
「あの子は、何者なんですか?!」
「北原さんの本命の彼女ですか?!」
「それとも、春瀬さんの彼女さんっすか?!」
興味津々、といった様子だ。
答えを知りたそうな顔をしているから、思わず意地悪したくなった。
「さて、どうでしょう。」
含みのある笑みを浮かべ、人差し指を唇に当て、“秘密”と表現すると。
「…………。」
「…………。」
「…………。」
皆が皆、顔を赤くしてしまった。
相手が男でも、そういう反応みるの私、凄く好きです。
暫くのち、ドタバタと走る足音と同時に、灰音が部屋に入ってきた。
いや……滑り込んできた、と言うべきでしょうか。
見事なスライディングで部屋に入ってきた灰音は、満面の笑みを浮かべていた。
「天ーー!聞いて聞いて聞いてー!!」
珍しく凄くご機嫌で、私も来たる朗報を楽しみに「なんですか?」と返事をした。
「電話したんだよ、副総長達に!そしたら……アオは、マジだった!東はアオの名前を出せば超焦ってた!超怒ってた!南と西は……なんか、微妙な返事だったけど、来るってさ。」
アオのくだりは知らないものの、東やら西やら、なんだか良くない言葉に何かを察したのであろう。
大勢の生徒達は、ざわめく。
その中の一人が、恐る恐ると言った様子で灰音に近づいた。
「……春瀬さん、それ、要約すると……。」
「今から東西南の総長・副総長が来るって事だね。」
「「「俺達を殺す気ですか?!」」」
「それくらいじゃ死なないっての。……まぁ、安心しな。あんた達は四校連盟の時同様、二階で待ってていいから。あいつらが怖いんでしょ。」
「怖いっすよ!お言葉に甘えますからね!?」
焦って彼らは2階へと続く階段目掛けて走った。
そんなに焦らなくても、今すぐ来るわけじゃないでしょうに。
ここで彼らの名誉の為に言っておくが、彼ら北校連盟の不良達に限って総長、副総長を恐れ、逃げるのではない。
他の連盟の不良達も、四校連盟総会の時は姿を見せないからきっと隠れているのだろう。
大の男が……なんて思うかもしれないけれど、
メンツがメンツ。
普通の人なら恐ろしさ故に逃げたくもなるだろう。
灰音と私は、そんな彼らを見送っていた。
「天、今の心境は?」
「ゾクゾクしますね。」
「程々に、あいつらやっつけちゃいなよね。」
そう生意気に微笑む灰音に、
簡単に言ってくれる、と
私は喉を鳴らして小さく笑った。
天真side end