プリキス!!


割れたのは花瓶らしい。

めぐの足元らへんに破片が落ちているからきっと、割ったのはめぐ。




向き的にめぐや東麻の顔は見えない。

けれども、なんだか物凄く黒ーいオーラはひしひしと伝わってきて。





「北原……ねぇ、お前触った?あの子に触った?俺が18日と2時間30分48秒、傷つけないように死ぬ気で頑張って会わないようにしてた間に……俺の大切な子に触った訳?お前滅びればいいよ。」


「北原君、あの子はねぇ……てめぇが簡単に遊べる女じゃねえんだよ。あの子はいずれ僕のなんだから、北原君がもし……何かしてたら、沈めちゃうよ☆」




あああ、やっぱりうちの総長はマジギレだ!と

その時は片桐と珍しく心が通じあっていたに違いない。




副総長同士の心は通じあった……けど、東麻とめぐはどうだろう。

今回は、ほら。

アオを救出するっていう共通の目的があるから、せめて東麻とめぐの間では険悪にならないでほしいなぁ、なんて。









……思っていたんだけど、やはりそれは夢物語。




「ねえ、今何て言った?初伊がお前のだって?」

「うん、言ったぁ。初伊ちゃんは、いずれ僕が貰うから。西巴君が怒る理由はないよね。だって初伊ちゃんは、現段階で誰のものでもないんだから。」




睨み合ってない。

二人とも笑顔だけれども、その笑顔は殺人級。

もちろん、黒いという意味でだ。




ダメだ、こりゃ。

総長っていうのは、どんな状況でも険悪になっちゃうらしい。

いや、烏丸絡みだから険悪になるのか?

ていうか……うん、アオって………………………………烏丸?









「──邪魔だぁ、どけろ。」



一生懸命部屋の中を覗き見していたから、背後の気配に気づけなかったらしい。


何処か威圧感を感じさせる声に、片桐と俺は後ろを振り向けば、そこには俺達を見下すように立っている南城の姿があった。




とうとう……南城まで来てしまったらしい。

四校連盟総長、全員集合。

何てことをやらかしてくれちゃった、北原&春瀬!




ドアの前からよけて道をあけると、南城は俺を……片桐ではなく、俺一人を静かに睨んだ。


「………一度手放したなら、二度と現れてくれるなっての……。」


クッ、と。

自嘲気味に喉を鳴らして笑う南城は、勢い良く扉を開き、

「俺も混ぜろ」とその場に乱入した。






< 326 / 422 >

この作品をシェア

pagetop