プリキス!!
南城が中へ入ってからは、殴り合いの喧嘩が始まった。
総長同士。それぞれがそれぞれに相当強い。
なかなか“実戦向き”なそれらを見て、俺は正直血が騒いだ。
「だめっすからね?この中で唯一のストッパーの橘先輩が乱入したら、誰がこの騒ぎを止められるんですか?!」
恥ずかしい事に、俺のその気持ちはバレバレだったらしい。
凄い形相で引き止められるので、今回は行くのは諦めようと思う。
半分涙目で、戦場の様子を眺める片桐。
俺の聞きたいことを聞けるタイミングは今だ!と思い、聞いてみる事にした。
「ねぇ、片桐。」
「はい。」
「アオって……烏丸?」
「…………………………今更っすか?!」
……やっぱり。
烏丸=アオだ。
肯定はしなかったが、呆れたような片桐の顔とその反応で答えを知る。
烏丸は、何でこんな所にいるの?
烏丸は無事なの?
今何処にいるの?
……元気にしてたかな。
風邪引いてなかったかな。
……会いたいな。
もしも、今日の騒動がなかったら。
烏丸に会うのは、間違いなくもっと先の話だった。
めぐはあの電話で何か吹っ切れたみたいだけど、もしあの電話が来なかったら。
まだ自己嫌悪やら何やらに捕らえられてるめぐは、烏丸に会いに行こうとしなかっただろう。
そう考えたら……今回の騒動に、感謝しなきゃいけないこともある。
「お、やってんねー!超楽しそう。やっぱアオでゆすり掛けて正解だったなー。」
……前言撤回。
突如どこからか現れた春瀬が、なんだかムカつくから前言撤回!!