プリキス!!



南城が中へ入ってからは、殴り合いの喧嘩が始まった。

総長同士。それぞれがそれぞれに相当強い。

なかなか“実戦向き”なそれらを見て、俺は正直血が騒いだ。



「だめっすからね?この中で唯一のストッパーの橘先輩が乱入したら、誰がこの騒ぎを止められるんですか?!」




恥ずかしい事に、俺のその気持ちはバレバレだったらしい。

凄い形相で引き止められるので、今回は行くのは諦めようと思う。



半分涙目で、戦場の様子を眺める片桐。

俺の聞きたいことを聞けるタイミングは今だ!と思い、聞いてみる事にした。



「ねぇ、片桐。」

「はい。」

「アオって……烏丸?」

「…………………………今更っすか?!」




……やっぱり。

烏丸=アオだ。

肯定はしなかったが、呆れたような片桐の顔とその反応で答えを知る。



烏丸は、何でこんな所にいるの?

烏丸は無事なの?

今何処にいるの?



……元気にしてたかな。

風邪引いてなかったかな。

……会いたいな。




もしも、今日の騒動がなかったら。


烏丸に会うのは、間違いなくもっと先の話だった。


めぐはあの電話で何か吹っ切れたみたいだけど、もしあの電話が来なかったら。


まだ自己嫌悪やら何やらに捕らえられてるめぐは、烏丸に会いに行こうとしなかっただろう。


そう考えたら……今回の騒動に、感謝しなきゃいけないこともある。





「お、やってんねー!超楽しそう。やっぱアオでゆすり掛けて正解だったなー。」




……前言撤回。

突如どこからか現れた春瀬が、なんだかムカつくから前言撤回!!

< 327 / 422 >

この作品をシェア

pagetop