プリキス!!





「春瀬先輩の馬鹿!!恩知らず!!」

片桐は、春瀬を見るやいなやそう叫んだ。




「はぁ?何で片桐にそんな事言われなきゃいけないわけ?」

そんな片桐に春瀬は、片方の眉を吊り上げて不機嫌を表す。



「初伊先輩に助けてもらった~って喜んでたくせに、面白そうだからって北原先輩に差し出すなんて、最低です!大体初伊先輩が絡むとあの人達面倒くさいんですからね?!身を持って面倒くささを知ってください!」





ああ、そうだ。

春瀬は前に、烏丸に会った事があるんだっけ。

それで、めぐが怒り出したんだっけ……。




俺としても、烏丸は大事な大事な親友で。

変態すぎる北原天真と一緒にいたなんて、考えただけでも恐ろしい。

そして、烏丸を気に入っていたにもかかわらず、そうやって北原の元に烏丸を差し出した春瀬に、俺も怒りがふつふつと湧いてきた。




「……烏丸を早く返してくれない?」




そう言って、じっと睨む。

片桐も片桐で、春瀬を睨んでいるみたいだ。


睨まれている春瀬は、何故かきょとんとした顔で。




「あんた達の返して欲しいのって、誰。」

分かりきってるはずの、当たり前な事を聞く。



「勿論烏丸。」

「初伊先輩っすよ。」



片桐と息を合わせてそう告げると




「烏丸…初伊…………………………………………あ?!」



春瀬は、まるで飛び上がるように凄く驚いた。


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