プリキス!!
「初伊先輩が、南にいるなら安心です。北には……絶対来ないで欲しいっすもんね。」
「もう。揃いも揃って北を侮辱して。北だって、本当はいい奴ばっかりなんだよ。ただ、天の評判が悪いだけで。」
確かに北は東みたいに揉め事を起こさないし、静かな所だ。
北原だけを見ての評価をされているのも、まぁ可哀想かと。
だからといって烏丸を近づけさせようとは思わないけど。
「ところで、外でバイク鳴らしてるの誰?春瀬、他にも脅迫電話を掛けたの?」
さっきから、ブルンブルンと唸っているバイクがある。
気になって、春瀬に聞けば首を横に降った。
「……まさか!」
吉良先輩はハッとして、入り口のドアに向かって全速力で走りだした。
その顔には焦りの色が浮かんでいて、
吉良先輩の言うところの“まさか”は俺も片桐も春瀬も、理解する事が出来たから、吉良先輩の後を追う。
「……何で来た。」
「むしろ橘達がいるって聞いてついてこない方がおかしいよね。」
「帰れ。」
「帰らない。帰るんなら、お兄ちゃんと夜白と帰る。」
「それは無理だ……。」
「ならいる。」
吉良先輩と口論しているのは、聞きなれた声。
綺麗な、鈴を鳴らしたような声だ。
俺はそれを聞くなり、無意識に叫んでしまった。
「烏丸!」と。
そうすれば、「橘!」と声が返ってきて。
ええっと、何だっけ。
さっきめぐが言っていたけれど……
18日と、何時間と何分と何秒かは忘れたけれど。
それだけぶりに、烏丸に会えたんだ。
行成side end