プリキス!!
君の温度を知りたくて
「ねぇ、夜白。」
そう話しかけると、優しい声で何だ?と返してくれる。
フェロモン大魔人なのは以前と変わらないけれど、その辺は出会った頃と違うなぁって時々思うよ。
出会って数ヶ月、分かった事としては、
夜白は怖そうだけどそれは纏ってるオーラのせい。
本当は凄く優しい事。
それから、これは夜白本人について分かった事かどうか、微妙なラインだけれども、彼の家は華道の家元らしい。
南城(みなしろ)流というそれは、華道を嗜んだことのあるものにとっては、聞いたことがあるのは一度や二度の範疇じゃない。
現当主は天皇家の血を引く、と聞いたことがある。
だから……ねぇ。
やっしーは、やんごとなき家系の人だったのだ。
そして、一番の発見は。
「髪いじるの、本当に好きだね。」
「ああ……。」
この子、凄い世話焼きだったんだ。
暇を見つけては髪をいじいじ。
服をプレゼントされた事もある。
ものっすごいお洒落で、焦ったよね。
「ところで、夜白。」
「ああ?」
「近くない?」
今日も今日とて髪をいじられている私は、胡座をかいて座る夜白の足の間にいた。
「気の所為だぁ。」
「いや、気の所為じゃないって。ほら、あそこでお兄ちゃんが睨んでるって。」
「ククッ……気の所為だぁ。」
いや、どう考えても気の所為じゃないよ!
それでも夜白の元から逃げないのは、彼のやってくれるヘアアレンジが可愛すぎるから。
前に教えてって頼んだら、「やだ」って返ってきた。
「自分で出来るようになったらお前……俺に髪触らせてくれねぇだろ。だから絶対教えねぇ。」
「やっしーの意地悪。」
やっしーと呼べば、ペシっと頭を叩かれるのはもうお決まりのパターンと化していて。
でも総長さんのしっぺは優しいから、別にされても嫌じゃなくて。
最近はぺしぺしぺしぺしやられてます。
雑談していたら、ふと着メロが聞こえた。
「お兄ちゃん、電話。」
「ああ。」
私がそれがお兄ちゃんのだと分かるのは、今時珍しい蛍の光が着メロだからだ。