プリキス!!





「え?泊まっていくけど、何か問題でもある?」

「ダメに決まってるでしょ!さよなら、ありがとうございました!」





あの後は、部屋に強引に押し入って泊まろうとする恵をぐいぐいと部屋から押し出すのにもの凄い苦労した。



……まぁつまり、恵は何か家の中まできっちり送ってくれたんだよね。


私のご近所さんは、変態で、性格悪くて、病んでて。でも優しいみたいだ。




あ、そう言えば……





ふと、西凛の制服のカーディガンのポケットにしまっておいた
スマホの存在を思い出し、手を突っ込む。


が、どっちのポケットを漁っても空。




さーっと顔が青ざめる。




「落とした?あの通りで?」




や、無理だよ、取りに行くのは。

えと、えーっと、こういう時ってどうするの?

キャッシュ止める?

え、交番?交番なのかな。



あ……拾ってくれたかもしれないから、自分の番号に電話してみよう。





プルルルルと長い間機械音が鳴り響く。

このスマホ、烏丸の真尋伯父様から頂いた奴だから……無くしたら申し訳ないな。



長い長い機械音が、プツッと途切れた。




「……あ、もしもしっ、すみません、この携帯の持ち主なんですけど……」


「クックッ……知ってる。」





この声……というか笑い方は……


「……南城君?」

「夜白だっつってんだろ。」

「……南城君が拾ってくれたの?」

「俺が盗ったって可能性もあるだろ。」

「それないと困るんだけど!」



何か通話越しに笑ってるし。

何かあの人結構な笑い上戸だよね。




「返してやるよ。

───明日、放課後五時、南まで来い。」


「え?」


「時間厳守。じゃなきゃこのスマホ折り曲げて使えなくする。」


「は?え?ちょ……」




ツーツーツーツー……





「いや、私南への行き方うろ覚えなんですけど!?無理だよ?!」




静かな部屋に声が響いて余計虚しくなってきました……。


本当に……強引なイケメンも、是非とも机上のキャラでお願いしたい。



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