プリキス!!
ヒビががっつり入ってる。
しかも隠せそうにないど真ん中に、だ。
「嘘でしょ……。」
折角無事を確認したのに。
灰音だってきっと喜んでくれたのに。
その姿を見せる前に、鏡は割れてしまった。
シエルの……初期モデル……超プレミア……。
なんと罰当たりな事を!
「初伊ちゃん、固まっちゃったじゃん。西巴君最低ー。っていうかそのダーツの矢、何処から出したの?」
「ああ、これ?ここに落ちてたんだ。」
犯人は誰だ!と探す前に、あっけなく犯人は自供した。
飄々と、何も悪いとは思ってなさそうな口調で自供。
主犯:西巴恵
恵ぃぃぃ!!!!
久しぶりに会った彼、西巴恵。
恵に会いに来たはずだった。
感動的な再会…………にはなる予定ではなかったが、落ち着いた心持ちで、色々話す予定だった。
なのに、だ。
お兄さん、何してくれとんじゃあ!
落ち着いて話せそうにないよ!
怒りマックスだよ!
もう一度言う。
何してくれとんじゃあ!
私は恵を睨む。
この前家の鏡で練習した、とっておきに人相が悪くなる睨み方で、だ。
ちなみにそれにはかなりの自信があって、お兄ちゃんを怯ませる位の威力はあると実証済みだ。
しかし私の顔を見ると、恵は笑った。
笑う所ではないのに、満面の笑み。
もっと怖がれよ!と私は内心不満たらたらだったけれど、不満モードは一瞬で終わる。
何故なら、恵の笑顔にぞっとする程の違和感を感じたからだ。