プリキス!!



ヒビががっつり入ってる。

しかも隠せそうにないど真ん中に、だ。



「嘘でしょ……。」




折角無事を確認したのに。

灰音だってきっと喜んでくれたのに。

その姿を見せる前に、鏡は割れてしまった。




シエルの……初期モデル……超プレミア……。


なんと罰当たりな事を!



「初伊ちゃん、固まっちゃったじゃん。西巴君最低ー。っていうかそのダーツの矢、何処から出したの?」

「ああ、これ?ここに落ちてたんだ。」



犯人は誰だ!と探す前に、あっけなく犯人は自供した。

飄々と、何も悪いとは思ってなさそうな口調で自供。



主犯:西巴恵








恵ぃぃぃ!!!!





久しぶりに会った彼、西巴恵。

恵に会いに来たはずだった。

感動的な再会…………にはなる予定ではなかったが、落ち着いた心持ちで、色々話す予定だった。




なのに、だ。

お兄さん、何してくれとんじゃあ!

落ち着いて話せそうにないよ!

怒りマックスだよ!

もう一度言う。

何してくれとんじゃあ!




私は恵を睨む。

この前家の鏡で練習した、とっておきに人相が悪くなる睨み方で、だ。

ちなみにそれにはかなりの自信があって、お兄ちゃんを怯ませる位の威力はあると実証済みだ。




しかし私の顔を見ると、恵は笑った。

笑う所ではないのに、満面の笑み。



もっと怖がれよ!と私は内心不満たらたらだったけれど、不満モードは一瞬で終わる。

何故なら、恵の笑顔にぞっとする程の違和感を感じたからだ。






< 350 / 422 >

この作品をシェア

pagetop