プリキス!!
*
「ごめんね、寂しい思いさせて。」
「くすぐったい!」と、恵の耳攻撃から全力で逃げた私。
恵と顔が近すぎるあの構図からは逃れられたけれど、恵からは逃げられなかった。
今も彼に手首をがっちり掴まれていて、逃げることは出来そうにない。
でも人間、捕まえられたら逃げたくなるものだよね。
そろそろ離してほしいなぁ、なんて。
恵がヤンデレモードを抜けたのは喜ばしいことだ。
拉致からの監禁が有り得る位の危うさだったからね。
でも……でもさぁ!
今の恵も私的には凄く困る!
甘い!甘いんだ!
砂糖に蜂蜜を……いや、蜂蜜に砂糖?
まぁそんな事はどっちでもいい。
とにかくだ。ヤンデレモードを抜けた恵君はベタ甘になるという習性をもつらしい。
何が甘いって……視線が、口調が、存在が甘い!
「もう離さないからね。」
「え?」
「24時間365日、一緒にいようね。」
ついには恵さん、そんな事を言い始めた。
「離さないって………。」
「うん、離さない。物理的にも、精神的にも。」
そこから恵の“物理的にも精神的にも離さないプラン”の説明が始まった。
それは……ええ、聞かなかった事にしたい程のベタ甘ラブラブプラン。
しかもかなり綿密に組まれているから、きっと前々から組まれていたものなんだろう。