プリキス!!




見知らぬ人……っていうかきっとこの人が噂の北校の総長さん、北原さんだろう。

だってこの場に、四校連盟の総長達がいるんだから。




天音先輩と同じ名字だなぁ、と先入観があったからだろうか、本当に顔まで天音先輩そっくりに見えてきた。




北原さんは、他の四校連盟総長達と同じくイケメンさんだった。


胸まである長いキャラメル色の髪は男の人なのに凄く珍しくって、それでいて北原さんの雰囲気に合っていた。


こんな例え、幼稚かもしれないけど、昔見た絵本の王子様みたい。

優しそうな笑顔で、にこにこしてる。




どう見ても、夜白よりも見た目は人畜無害だし、中身も恵より優しそうだし、まさか美琴のように裏が酷いという訳ではないだろう。



“四校連盟総長一の下種”?

こんな人が?と頭に疑問符を浮かべる。



彼は「よいしょ」と椅子から立ち上がり、フフッと笑みを漏らしながら私の前までやってきた。



勿論笑顔というのは、某Yさんの妖しい微笑みや某Mさんの悪魔の笑い、もう一人の某Mさんの目が死んでる笑いじゃない。


屈託のない、本当に楽しそうな笑顔だ。



本当に、この人があの中で一番下種だって?

有り得ない……よね。



「初伊って言うんですか?」

「あ……初伊です。烏丸初伊。」



一瞬何を聞かれたか分からなくなったが、名前を聞かれている事に気がついて答える。

そうすれば、北原さんは、「へぇ」と感心するような声を出して。



「烏丸……。もしかして、志乃と吉良の関係者ですか?」

「!」



この人、お姉ちゃんとお兄ちゃんの知り合いだ!

そう思うと警戒心が一気に解けた。

「妹です」と言えば、「そうなんですか」と優しい笑顔を向けてくれた。



< 359 / 422 >

この作品をシェア

pagetop