プリキス!!
両耳にかかる圧力に、誰かに耳を塞がれている事を理解して。
ようやく開放されてから塞いでいた手の主を見れば、それは灰音だった。
「春瀬。よくやった。」
「北原先輩。うちの烏丸の前でそういう発言はやめて下さい!」
灰音を褒めるお兄ちゃん。
天真先輩を怒る橘。
それに対して先輩は、「すみません、つい」と笑う。
「聞こえなかった?」
「えっと、うん。お陰様で……?」
天の奴!と不機嫌そうにぼそりと言った灰音。
きっと、橘のその行動を見るに、聞かない方がいい事だったんだろう。
だから、きっと。
「ありがとう。」
その言葉が正しいんだろうなぁって。
私は笑って灰音にお礼を言った。
「初伊、あのさ!」
私がお礼を言えば、パチクリと大きな目で何度も瞬きして。
その後、私の肩をガッチリ掴んだ。
忙しいなぁ、なんてぼんやりしていたのはつかの間。
私は灰音の言葉に、心臓が止まる程驚いて。
「えええーーーーー?!」
余りにも大きな声だ。
その声はきっと、遠くの遠く。
もしかしたら日本の反対、ブラジルまで届いたかもしれないね。