プリキス!!
初伊はそれから2週間程うちに滞在したが、彼女は日本に帰らなければいけないということで俺と姉貴は泣く泣くその手を手放した。
「初伊ちゃん、また会いましょおね。」
「風邪引かないようにな。」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、またねぇっ!」
二週間。
それはほんの短い期間だったけれど、俺達姉弟は初伊に凄く助けられて。
姉貴はそれからは部屋から出るようになったし、俺も色々頑張ってみる事にした。
「また来年、連れてくるわね。……今度は智秋も連れて。」
「ふっ……分かった。待ってるね。」
美里叔母様と父さんは、笑いあってそんな約束をして。
ああ、また来年も来てくれるんだって、
楽しみに待っていたのに。
美里叔母様と会うことは二度となかった。
俺は……知ってる。
美里叔母様と初伊が瓜二つで、初伊が自分の姿を見る度になんだか寂しそうに笑うこと。
一人ぼっちが嫌いなこと。
嫌われるのが怖いこと。
誰かに必要とされたいと、普通の人以上に思っていること。
だからこそ、誰かの本当の辛さを分かってあげられること。
誰かのために全力になれること。
誰かの笑顔を、守りたいって思ってる強い子でもあるということ。
「……ずるい。」
鏡台が!!と、自ら危険地帯に何も考えずに走っていった初伊を追っていた所、
何処からか現れた少女に俺達は足を止めた。
その子は走っていく初伊を見たらしく、それに対する反応が“ずるい”。
「あの子が…アオ……。……私の方が、可愛いのに。」