プリキス!!



初伊は何だかよく分からない所で男前だから、変な奴に懐かれる。



そして……

この鈴原を見てもいえるように、普通の人より顔がいいから、よく嫉妬なんかもされる。



「……顔の良し悪しなんて、関係ないだろう。」






俺がそう呟くと、8つの瞳は俺の方を向いた。

うっかり出てしまったその言葉は、まぎれもない俺の本心なんだ。





初伊は、兄目線で見て、本当に可愛らしい。

出来れば何処にも嫁に出したくない位に、俺は初伊に対してそれなりの独占欲がある。


ただ、俺は断言出来る。

もしも、初伊が所謂美少女じゃなくても、どんな姿形をしていても、世界で一番可愛い妹だって事を。


初伊のいい所は挙げていけば数え切れないけれど、やはり一番は真っ直ぐな性格だと思う。


あの悪役総長達もきっと、初めこそ見た目で見ていたにしろ、初伊に懐いた決定打は性格だろう。




なのに。

何処に言っても言われていた。

顔がどうの、ハーフだなんだと。

嫉妬の対象になり、辛い思いも何度もしてきた。

ついでに言えば、美里叔母様に生き写しなその顔は、彼女を複雑な気分にさせるだけなのに。

言ってしまえば利点なんかほとんどないのに、人は皆言うのだ。




初伊は顔“だけ”だと。





「───苛立つな。」





俺はこの時、来るなと行ったのにやってきた手の掛かる奴のことやら、そいつが今あっちの部屋で面倒な事に巻き込まれているだろうことについてどうすべきか考えることで精一杯だった。


確かに鈴原を良くは思えなかったが、そこまで敵視をする必要もなかったのだけれども……



思考回路に他の事を考える余裕がないのに、苛立つ事が起きてしまったからか、かなりキツイ口調で言ってしまったらしい。



「すっ……すみませんでした!」



鈴原は、俺から思い切り目を逸らして、走り去ったのだ。




「吉良先輩てば、そんなお人形フェイスでそんな顔されたら鳥肌立ちます。」


自分の顔の影響力を知ってください!と橘は言う。


余程見苦しい顔をしていたらしい。

今度からは気をつけようと思う。




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