プリキス!!







部屋に入ってみれば、やはりそこは、大変不気味な空間だった。

何が一番のおかしな所かって言うと、それは勿論あのメンツの中心に初伊がいた事なのだが。



連中に絡まれ、帰るタイミングを完全に失った初伊を帰らせる魔法の言葉は“門限”で。


北原、春瀬、東麻、片桐と連絡先を交換するというハプニングもあったものの、無事に帰宅。




「カナン校内で絶対携帯落とすなよ」と注意すれば、

「あは、あはは……」と乾いた笑いが返ってきた。

きっとカナンでそれを見られたらどうなるか想像したんだろう。





北原に会わせない。

それが姉貴の一番の目標だった。

……が、会ってしまったのが現状で。




「お帰りなさい、2人共。」




にっこにこの姉貴に玄関先で出待ちされた時には心臓が凍るかと思った。


誰だ、“陰飛羽の撫子”なんて言い出した奴は。

何処をどう見れば、そんな可憐な花を姉貴と例えられる。





「今日は遅かったのね。どうかしたの?」

「……ご、ごめんねお姉ちゃん。トランプ大会が白熱しちゃって。」

「そうなの。初伊は勝てた?」

「うん、なんとか。」




初伊は色々と誤魔化した。

流石に、四校集結したところにいましたとは言えなかったんだろう。

姉貴は鋭いから、すぐに初伊の嘘に気付くと思った。

けれど姉貴は「そう」と一言だけ呟くと、いつも通りの様子で「食事にしましょう」と言ったのだ。





バレて……ないんだよな?





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