プリキス!!



無理矢理バレていないと自分に言い聞かせて。

時は進んで夜。




深夜2時を回った頃だ。

別に何があった訳ではないが、なんとなく眠れず、新書を読んでいた所───



“コンッ”

“コツンッ”



変な音が聞こえてきたのだ。

それは、俺の部屋の窓の外から聞こえてくるもので。

何事かと、本を読む手を休めて恐る恐るカーテンをたくしあげる。





………………。





次の瞬間、俺はそれを見ないことにしたかった。

というか見なかったことにした。

うん、俺は何も見ていない。




何事もなかったかのように、続きを読み進めることに決めて。

現実逃避でしかないが、あんなモノを見たら逃避したくもなる。




“コツン”

“コツンッ”




無視を決め込んだのだが、音は止まらなくて。

ついでに、妙な音に邪魔されて全く本に集中出来ない。




「〜〜〜っ!!」



なんの意図があって、あんな事をしてるのか分からないが、このまま放っておく訳にもいくまい。

俺は携帯からそいつに電話を掛けた。




「…………おい。窓ガラスが割れる。」

「お兄さんが気がついてくれないから悪いんですよ。」




電話を掛けた相手は隣人、西巴恵。

西巴の家のバルコニーは、俺の部屋から本当に近く、カーテンをしなければ何をしているか見える位の近さで。


奴はさっきから、おそらく小石と思われるものの類をそこから俺の部屋に向かって投げていたのだ。


────無表情で。




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