プリキス!!
「何だ……?新手の嫌がらせか?」
「嫌がらせ、なんて。俺がお兄さんにそんな事すると思います?」
「ああ。」
ちょっと食い気味で返事をすれば、西巴のくすくすという笑い声が聞こえた。
ちなみに俺は愉快な所を全く感じられず、笑えそうにないのだが。
本当に西巴は何の用だろう。
西巴は……初伊に関して、有り得ないくらいの……言ってみれば病的な程の関心を持っている。
中学生時代初伊に近づく男は抹殺されてきた。色々と。
初伊に近づく男の中には、兄である俺も含まれていて。
随分と嫌われていた筈だ。
だから……この西巴の行動は余計恐ろしかったのだ。
「お兄さん。」
「お前の兄ではない。」
「もうすぐ、夏休みですね。」
お前の兄ではない、という発言はスルーされ、その後西巴が変わらぬ口調で言った言葉は俺をより不愉快にさせるには十分で。
「夏休みだな。……だから何だ。」
もう数日すれば夏休みだ。
陰飛羽の夏休みは3週間と、意外と短い。
「初伊、痩せましたよね。」
「……痩せた?」
夏休みに関しての話から、急な話題転換だった。
初伊が、痩せたと。
そう西巴は言う。
「本当か?」
「はい。痩せました。というか、やつれました。」