プリキス!!
*
取り敢えず校門の前に立ってみるけど……
「……ねぇ、あれ。」
「うちの生徒じゃないよね。」
ジロジロと視線に晒されるのは、あまり得意ではない。
考えるだけでも苦痛な日々を、思い出させてしまうから。
私がまだ、本当に“烏丸初伊”だった時の事を。
「カナ女……?」
・・・。
“カナ女”というワードに一気に現実に引き戻されたよね。
え、バレた?
違うでしょ、景南の皆さん!
カナ女じゃなくてね!
「水南だよ。カナ女と制服似てるし。」
「ああ、あのなんちゃってカナ女の。」
その通り!ボソッと言った誰か、ナイス!
狙ってました。水南女子高校風。
カナ女の制服は、紺色の膝丈、いわゆるスケーターワンピースというもの。
胸元の赤いリボンとゴテゴテのブローチしかこれと言った特徴はない。
水南女子高校は通称“南の中のカナン女学院”と呼ばれているだけあって、対抗心バリバリで、結構目の敵にされている。
ほぼお揃いの紺色のワンピースに青いリボン、それと袖に青いラインが入っただけの水南の制服は、大きめのパーカーでリボンもラインも見えなくすると出来上がる。
あっという間に水南女子でしょ!