プリキス!!
1日の始まりからもう疲労困憊。
そして、何か大切な物を失った気もする。
乙女のプライドってやつだ……。
一旦クールダウンすれば、見えてくる疑問もたくさんあって。
「……私、何で恵の家にいるの?」
髪で遊ぶのをやめ、今度は私の頬で遊び始めた恵に聞いてみる。
なんだか………早朝に恵と話してからの記憶がないような。
…って………あれ?
自分で今言って気がついた。
いくらなんでも、家からここまで移動したなら覚えてるでしょ。
これまた凄くおかしい。
ただ、あの時気が遠くなった気はしている。
もしかして……と、嫌な予感が頭をよぎる。
聞こうか。……いや、聞いたら後悔する気もする……。
でもこのままモヤモヤしてるのも嫌だった私は、さっきの質問に加えてこう聞いた。
「何か、盛ってないよね?」
何か=薬の類
恵から返事は帰ってこなかった。
ただ、笑顔で無言の肯定をしてくるだけだ。
───ああ、ムカつくほどのいい笑顔。
嘘でしょ……
ついに犯罪に手を染めたの西巴君っ!
「……何盛ったの?」
「……知らない方がいい事ってあるよね!」
「爽やかに言い切るな!」
夏休み初日から、早くも怒鳴ってる私って……
そう考えると、なんだか目から液体が出てくるね……。
意気消沈している私とは反対に、ピンピンしている恵は微笑みながらベッドから出た。
「朝ごはんにしよっか。初伊はパンに桃のジャムだよね。」
「うん……そうだけど…………」
何故知ってる、と一瞬固まったけどもう何も言うまい。
恵に対して私のプライベートはないと諦めた。