プリキス!!





「っ……友樹……!」

「友樹は私の婚約者なのよ!貧乏人には用はないわ!行きましょ。」

「弓子……お前を愛していたよ……。」

「ちょっと友樹!この女は誰なのよ!」

「お前は……!和美!」



テレビで放映されていたドラマ。

それは時間的に言わゆる昼ドラだ。

此処に来るまでの経緯を話終われば、何となく二人でTVに見入っていた。




「うっわ、泥沼……。」

「友樹の女癖の悪さが良く分かるね。駄目だよ、初伊はこんなのと口聞いたら。」

「これは関わりたくない……。」



友樹と真実の愛で結ばれていたのは弓子……のはずが、お金持ちの婚約者、恵理子が登場し友樹はお金欲しさにそっちに傾き……

かと思えば和美の登場。

幼馴染みらしい。




「あ、愛子も登場した。」

「馬鹿者!皆友樹に騙されないで!そいつは顔だけの男なんだよ!」



思わず熱が入る。

友樹は取り敢えず最低だ。

結局誰が好きなんだ、友樹!

ハッキリしなよ!

っていうか、恵理子に振られて恋人にも振られてしまえ!





結局ラストは。

和美の妹の加奈子と真実の愛を見つけられたらしい。

良かったね……とは言えない。

結局こいつは何股していたんだろう。



「一番可哀想だったのは恵理子だよ……。」



本人は小さい頃から友樹が好きで、我が儘お嬢様とは程遠い彼女がした唯一の我が儘が友樹との婚約……。

なのに友樹は弓子といちゃついてるし、最後は恵理子は違う人と婚約させられてしまうし。


他の女の人達も皆可哀想だったけど、恵理子に特別熱が入るのは、私が恵理子に近い境遇だからだろうか。



結婚するなら、誠実な人がいい。あと、烏丸じゃなくて、花京でもなくて、初伊を見てくれる人がいい。

でも、無理だろうなぁ。





『花京を守ってあげる。だから取引しようか。』


儚く美しく。

花のような笑顔で悪魔が囁く。



取引材料は、私。

生贄は、私だ。



『君の、最高に苦しんだ顔が見たい。』




嗚呼、思い出すだけで鳥肌だ。

何かとつけてあの人の顔を思い出すのは、あの人の住処に行くべき日が近づいているからに決まってる。


どうして、あの人だけあんな風になってしまったんだろう。

真央君は、どうしてあんなに私を嫌う?





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