プリキス!!



恵side





自らの隣で無防備に、すうすうと寝息を立てて寝る愛しい女の子。

思わずキスしたくなるけれど、今はやめておく。

だって今は初伊の体の方が心配だから。




うっかり見入ってしまった愛憎ドラマ。

面白かった訳ではないが、「うっわ」とか「はぁーーー」とか、一々反応する初伊が可愛くて、可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて見てしまった。

というか。

行動の全て、言動の全てが愛おしい。



俺が可愛いっていってるのは、顔じゃない。

いや、顔も凄く凄く可愛いけど。

例え初伊が今みたいに整ってない容姿だとしても、整ってないどころじゃなくて、醜かったとしても。

それが初伊なら俺はその子が世界で一番可愛いんだ。




『もう俺、死んでもいいよね?』



生きる事に意味を見出せなくて、いつも終わりを探していた俺に、生きる意味をくれた女の子。

守りたいんだ。

狂おしい程に、誰にも触れさせたくない位愛しい。

前は、いっそ初伊を殺して自分も死のうかなんて思っていたけれど、今はそう思わない。

笑ったり、怒ったり、恥ずかしがったり、色んな表情を見せる君を見ていたいと、心から願うよ。






ただ、俺以外を思って苦しむのは、許さない。



そう。

うっかり見続けた愛憎ドラマ。

何処かに、烏丸真央を思いだすスイッチでもあったんだろう。





やめてよ。

俺といるのに、あいつなんて思い出さないで。




知ってるんだ。

初伊が最近夜、うなされている事くらい。

悔しい。

けれど、今の俺には初伊を守ってやれる手段はなくて。

下手に烏丸真央にちょっかいを出すと、余計初伊に魔の手が行くかもしれないから、俺は何も出来ないんだ。




だからさ。

俺といる時だけでも、忘れてよ。

安心して、笑っていて。





恵side end



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