プリキス!!
「恵!って叫んでたけど……」
「あ、えーと………。」
そう。
後ろから迫りくる真央君から逃げたくて。でも恵に手が届かなくて。
夢の中で叫んだつもりが、現実でも叫んじゃったんだよね。
でもなんか、すっごく恥ずかしい。
学校の先生をお母さん!って呼んじゃった気分だ。
夢が夢だし、何だか恥ずかしいし、橘に上手く現状説明が出来なくて黙っていたら、「めぐめ……」と何だか不穏な声色の声がして。
「その反応……ねぇ烏丸。大丈夫?ちゃんと合意の上……じゃないだろうけど……その、避妊はし「多分橘の思ってること違う!」
食い気味で反論。
橘の言わんとすることが何となく分かってしまい、赤面してしまう。
「手錠を付けられて無理矢理……じゃないの?」
「違う!恵は無罪!……いや、誘拐罪ではあるような気はするけど……そっちの面では無罪です!」
そう言えば、良かった〜と安堵の声が彼から漏れる。
「変な事はしてないよ。」
背後から恵の声がしたから振り返れば、そこにはコーヒーカップを3つとフレンチトーストのお皿をお盆に載せて運ぶ恵がいた。
運ばれた先は食卓テーブル。
「おいで」と言われて、私と橘はそこへ向かう。
「お腹すいたでしょ。二食続けてパンでごめんね。」
ちょっと異色を放っていた、一人分だけのフレンチトーストは私に作ってくれたものだった。
「恵と橘の分は?」
そう聞けば、少し苦笑い。
「初伊が寝てる間に食べちゃった。」
そう言う事らしい。
一瞬、二人がお腹が空いてお昼前にフライングしたのかと思ったけれど、時計をみて驚愕。
「よ……四時?!」
朝ご飯を食べて、少しテレビを見て、眠ったらもう四時とか……。
人様の家でどれだけ寛いでるの私!
でも……寝不足解消できたかも知れないんだよね。
心なしか、かなり体が軽い。