プリキス!!





恵の作ってくれたフレンチトーストは朝食同様とても美味しかった。


「恵って、本当にチートだよね。」


チート。

意味としては何でも出来るということだ。






「料理上手だし誰もが憧れる連盟総長サマだし、確か頭も良かったし、モテるし。」



あと、イケメンだし……というのは何かちょっと照れるから言わないけど。

私の言葉に橘はまぁ確かに……と頷いた。

しかし当の本人、恵は全くの無反応。

チートと呼ばれるのが嫌だったのだろうか。

私はやらかしたかと心配して、恵?と声を掛けた。

そうすれば、「チートねぇ……」と真剣な顔で呟いて、それからとんでもない事をいい始めた。




「料理上手で連盟総長で頭が良くてモテたら初伊は俺の事愛してくれる?

24時間365日一緒にいて、俺以外には世界に何も要らないって言ってくれる?俗世間から離れ「烏丸。チートは嘘。病んでいるといういわく付きだ。」


冷静に橘がツッこむという事態に収束。





「一番欲しいものが手に入らないなら、他に何を持ってたって意味はないよ。」




やたらと熱っぽい視線を向けられて、背筋が甘くぞっとする。

一番欲しいもの。

日頃の行いその他etcから考えて、きっとそれは、私……なんだよね?

自意識過剰な痛い子だと思わないでね!

いくら鈍いとはいえ、あれだけ言われたら流石に理解したっていうか……。



中学時代は私をお母さんみたいなものだと思ってると思ってたけれど。

最近の行いは何ていうか、甘い。甘すぎて。




あー……あー!!もう!!

さっきから何乙女みたいな事考えてるの!

恵との変な空気がウイルスになって移っちゃったんだ、きっと!

恵ウイルスめ!除去してくれる!


橘のおかんオーラに成敗されてしまえ!





っていうか……


「橘はいつからここに?」



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