プリキス!!








「体調大丈夫だったら、出かけない?」



もっぐもっぐと、橘との会話の間もフレンチトーストを食べ続けた私。

プレートの上は、もう何もない。完食だ。




ご馳走様でした、と手を合わせれば、恵かれ誘いのお声が掛かったのです。

かなり長めの睡眠を取り、体力が有り余っている状態の私は、体調を心配する必要なんかなく。

せっかくの夏休みだ。

だらだらするのも好きだけど、今日は折角天気も良いんだ。

一日のうちの一回は外に出てなきゃ勿体無い気がしない?


ということで、その誘いには大賛成で首を縦に振った。



「私、一旦着替えに戻るね。」




なんせまだパジャマ替わりのジャージの私。

陰飛羽でジャージ外出はかなり悪目立ちする。

それはカナ女生としては絶対回避したいから、一旦着替えに家に戻る事に決めたんだ。




「あ、スカートは駄目だよー。」


丁度外に出た時、窓から恵が顔を出して言ったので、りょーかーいと返す。




スカートは駄目かぁ。

私……というか、お嬢様達は、基本スカートを着る。

着る人を選ぶパンツより、簡単に上品になれるからね。

だから、あまりスカート以外は持っていない私の、唯一の夏のおしゃれスタイルは白いジーンズ地のショーパン。

ただ、それは若干短いのだけれど、それしかないから仕方が無い。



トップスは、薄手の黒い長袖Yシャツにして、髪をまとめて高い位置でひと括りし、なんとなく夏らしくなった所で私は家を出た。



「お待たせ。」


家の前では恵一人、バイクの前で待っている。

悔しいけれど、ただ立ってるだけでも絵になる恵に一瞬見とれてしまった。







…………あれ?






家の前にいるのは恵だけだ。

いるはずの人がいない。

橘がいないことに気がついて私は恵に橘は?と聞いたが、恵はそれに答えてくれる様子はなく、何か考えている様子で私の方をただ静かに見るのだった。






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