プリキス!!
そう言ってショッキングピンクのヘルメットを手渡してきた南城君。
昨日は無かったものだよね。
「うちの姉のだから、安心しろ。」
ぼーっとそれを見ていると、他人のは嫌か?と聞かれた。
いや、違うよ。
そうじゃなくてね、
「わざわざ持ってきてくれたの?」
「怪我させると面倒くさい。」
「ありがとーございます。」
ペコリと一礼。
虎のオーラの南城君は、結構面倒見がいいらしい。
「どこ向かうの?」
「隠飛羽の麓の街。」
麓の街……
「……え、手続きしてないよ?!」
隠飛羽から出るには、手続きの書類を1ヶ月前までにキングかクイーンの元に提出しなければならない。
ちなみにそれを破ったのがバレると、一週間の自宅謹慎に処されるのです。
「正規の手続きするって何処のいい子ちゃんだよ。」
「正真正銘のいい子ちゃんだよ!」
クックックッと笑い声。
嗚呼お姉ちゃん、私はどうやら不良の道をあゆみ始めたようです。
悪い事はしませんから、今日だけはお許しください。
早く乗れ、と言う声と共に私は人生2回目のバイクにまたがり、それは瞬く間に出発したのだった。
「……今の美少女何者?!あれ南城さんだよな?!」
「普通に考えれば……姫?」
「大ニュースじゃん!」
──バイクが去った後の騒ぎなんて知る由もない。