プリキス!!
いざ、まいらん。
花火大会の一件から、3日経った。
陰飛羽には、全生徒外出許可期間というものがあって、春休み・夏休み・冬休みに一週間程、外出許可届けを提出していなくても陰飛羽外に出れる期間がある。
家が遠くにあったり、長期間家に帰省する生徒は予め外出許可証を手に入れて外出しているが、
そうではない生徒は主にこのタイミングで帰省する。
勿論烏丸三姉弟もそうなる予定だった。
「え、お姉ちゃん行けないの?」
「本当にごめんなさい!何やら重大な仕事があるらしくて……。」
そう言えば、さっき天音先輩から電話が来ていた。
クイーンだもん。忙しいんだろう。
「気にしないで。お仕事頑張ってね」と私はお姉ちゃんに声を掛ける。
そうすれば、お姉ちゃんはふにゃりと泣きそうな顔になった。
「全生徒外出許可期間だからといって、絶対行く必要はないのよ〜、私と一緒に此処にいましょう?ね?」
肩に手を回してギューっと抱きしめられる。
お姉ちゃんにぎゅっとされると温かくて、何だか優しい気持ちになれるよね。
……出来ることなら此処にいたい、とは思う。
けど、自分の勤めを果たすべきだとも思う。
答えられないでいる私の考えを読み取ったお姉ちゃんは「聞いて」と静かな声で言った。
「初伊。お兄様に会っちゃだめ。失礼でもなんでもいいから、逃げるのよ。」