プリキス!!






真央君はお姉ちゃんの実の兄だ。

それなのに、私のせいでそんな事を言わせてしまった。

申し訳ないけれど、私もそれに頷いた。




叔母様は、極力会わないように。

真央君からは死ぬ気で逃げる。



真央君は、烏丸本邸の西の端の、隔離されたような所に叔母様と住んでいる。

逆に、私やお姉ちゃん、お兄ちゃんの部屋は東にある。

広いお屋敷だ。

自ら望んで西に行かなければ会うことはないだろう。



私とお兄ちゃんは、南校連盟お抱えの運転手さんに湧泉町まで送ってもらい、そこから烏丸の運転手さんに烏丸邸まで送ってもらった。



たかが家を烏丸邸、なんて呼ぶのは大き過ぎるから。

イギリスやスコットランドのお屋敷は森なんかもあってもっと敷地自体は大きいから、それに比べると面積自体はそこより小さいが、ここの家は日本にしては破格サイズだと思う。


都心に近い一等地に立つ大きなお家。

白い壁塗りの、お城のようなお屋敷である。

門を開けて庭に車を止める。

玄関の前には、多国籍なメイドさんたちが出迎えてくれているのが目に見えた。




「坊ちゃま!初伊お嬢さま!」

「お帰りなさいませ!」



出迎えるメイドさんに、坊ちゃまは勘弁……とお兄ちゃんは心もとなく呟く。

そうすれば、彼女達はクスクスと笑った。

ここのメイドさんや執事さんは、かつてイギリスのお屋敷で給仕してもらっていた人達らしい。

日本に帰国するとき契約を切るつもりだったが、烏丸を支えたいと着いてきてくれたそうだ。

だから小さいお兄ちゃんをよく知っているメイドさん達にとって、お兄ちゃんのそのボヤキは面白かったんだろう。



玄関を抜けると吹き抜けの大きなホールが待ち構える。

そこには眼鏡の、40代後半と思われる男性が立っていた。

その人は真尋叔父様の秘書。

キリッとした表情で、お久しぶりでございますと挨拶されて。


「吉良様、初伊様、社長が書斎でお待ちです。」



お兄ちゃんは秘書さんの後を、私はお兄ちゃんの後をついて行く。

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