プリキス!!
side志乃
コツ、コツ、コツ……
私以外誰もいない生徒会室には大きなアンティークの古時計が静かに見守るだけ。
時々外から聞こえるテニス部の華やかな声が聞こえてくる。
────ああ、元気のいいこと。
机の上に置かれた大量の書類は主に夏休みの外出許可証。
隠飛羽で外出の許可証を出せるのは中央高校生徒会のみなので、毎年四月と九月はこの書類に判子を押す作業にいつも以上に追われるのだ。
それにしても、暇ね。
春の暖かな陽気と桜の咲く美しい校庭を背に、延々と続く判子を押す作業。
───少しくらいなら抜けてもいいかしら?
いや、駄目ね。
万が一、クイーンに急用がある人が来たら困るもの。
はぁ、と溜め息をついたその時だった。
「……随分長いトイレね。」
そう言って私は書類作業の為にかけていた眼鏡を外した。
ガチャリとドアが開いて、入ってきたのは天音だった。
「ああ、月一の憂鬱?」
笑顔で天音はそういったが、私はその言葉に殴りたくなる衝動に駆られる。
「〜〜〜っあなたに子宮はないでしょ。」
「あははっ。」
天音は私の座っている椅子の後ろまで来て、髪をひと房取り、ちゅっと音を鳴らして口づけをした。