プリキス!!



「本当に……前代未聞にも程があるわよね。男がカナ女に入学。しかも副会長だなんて。」





────そう。彼女……いいえ、彼、北原天音は正真正銘の男である。





初めて出会った小学一年生から小学時代の終わりまでは、紛れもなく男の子だった。




スキンシップの激しい上に美少年で紳士だった天音は幼い時から女子からの憧れの的で、


「天音君に遊ばれてみたーい♡」


なんて小学生に言わせていた強者である。





にも関わらず、彼は中学時代から女装を突き通している。






「……北原君、それ女の子の制服よ。間違えてないかしら?」


「ううん、あってるよ。これからは私、女の子で通すから、“天音”って呼んでね。」

「は……?」



あの時は本当に戦慄が走った。



女の子になりたかったのかしら、と思い、女の子扱いをしてみれば……





「志乃、あんまり油断してると、犯しちゃうぞ。」


「?!」


何故か突然男に戻る。





「結局、何がしたかったのよ?」


約二年前の卒業式、屋上に呼び出して天音に話を聞いてみると、きょとんとした顔でこう言われた。


「気づかないの?」


「え?」


「志乃が好きだから、一分一秒も離れたくなくてこんな格好してるんだよ。」





どうやら、私が高校は聖カナンを狙ってると知った天音は高校三年間は離れまいと考えて、そうしたらしい。




「馬鹿じゃないの?!そんな事で中高を女で過ごすなんて……。」


「ひどいなぁ。愛ゆえの行動なのに。……で、返事は?」



「はぁ……馬鹿。好きよ。私も……。」





そんなこんなで天音は私の彼氏である。


ちなみに初伊はこのことを知らない。


他の人達は、日本最大の北原グループに圧力をかけられて、知ってても口止めされてるし、裏で情報操作をされている。


ちなみに聖カナンの生徒達は誰も知らないみたいだ。





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