プリキス!!








生徒会専用の車に乗って15分。


「お邪魔するわ。」

「こんにちは。」


西凛高校旧校舎、芸術棟の音楽室に到着した。





「しっ、志乃さん。」

「あら、宮前さん。御機嫌よう。」

「ご無沙汰しておりますっ……。」

「ええ、本当に。」




うふふ、とわざとらしく笑うと宮前さんの引き攣った笑顔は更に強ばった。


彼女、宮前えれなは私の事が苦手であり、また私も彼女の事が嫌いである。




出会いはまだ隠飛羽に来る前。


同じ日舞の先生のもとで弟子をしていた私達。


私が気に入らないのか、扇子を隠したり、着物を破ったりを繰り返す彼女が心底不愉快で、ある日着物に絵の具をつけている現場に私は現れた。





「……志乃さん……!」


「あらごめんなさい。見るつもりはなかったのだけれど……。どうぞ続けて頂戴?」


余程楽しいのでしょう?と微笑んで、なんなら私も参加しましょうか?とまで言うと、それ以来彼女は嫌がらせを辞めた。





それから彼女は私を見る度に顔を青くするようになったのだ。



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