プリキス!!
*
生徒会専用の車に乗って15分。
「お邪魔するわ。」
「こんにちは。」
西凛高校旧校舎、芸術棟の音楽室に到着した。
「しっ、志乃さん。」
「あら、宮前さん。御機嫌よう。」
「ご無沙汰しておりますっ……。」
「ええ、本当に。」
うふふ、とわざとらしく笑うと宮前さんの引き攣った笑顔は更に強ばった。
彼女、宮前えれなは私の事が苦手であり、また私も彼女の事が嫌いである。
出会いはまだ隠飛羽に来る前。
同じ日舞の先生のもとで弟子をしていた私達。
私が気に入らないのか、扇子を隠したり、着物を破ったりを繰り返す彼女が心底不愉快で、ある日着物に絵の具をつけている現場に私は現れた。
「……志乃さん……!」
「あらごめんなさい。見るつもりはなかったのだけれど……。どうぞ続けて頂戴?」
余程楽しいのでしょう?と微笑んで、なんなら私も参加しましょうか?とまで言うと、それ以来彼女は嫌がらせを辞めた。
それから彼女は私を見る度に顔を青くするようになったのだ。