プリキス!!



「今日は、どのようなご要件でしょうか?」


「貴方にじゃないのよ。……西巴君か橘君はいらっしゃる?」


「えっと……奥にいます。呼んできましょうか?」


「お気遣いありがとう。でも結構よ。」






私は天音の方を向いて、自分が持ちうる最大限の笑顔を向けた。




「天音。あそこに初伊を危険から遠ざけなかった役立たず共がいるわ。」


「うん、分かったよ。」





天音は私の意図を汲んだらしい。


彼は音楽準備室と書かれた部屋の扉を、思いっきり飛び蹴りして、ドアはバタンと倒れた。




「まじかよ……カナ女が……。」

「でも……しびれる蹴りだな……。いい女だ。」





口々に不良達は天音を褒めて頬を染めた。

でも残念、あれは男で、私のよ。





「あーもうっ……誰だよドア蹴破った奴!」


「私だよ。こんにちは、橘君。久しぶりだね。」


「……!?」





北原先輩?!と驚く橘君に天音が回し蹴りをしたのは、それからすぐの事。









「……危ないじゃないですか。」


「やっぱり当たらないか。さすがマフィアの跡継ぎだ。」



天音がそう言った瞬間、橘君は……微笑んだ。







「北原天音……それ、禁句。行成切れると面倒なんだ。黙ってよ。」



そして、部屋の奥から出てきたのは



熱さまシートを額につけた、西巴だった。








< 46 / 422 >

この作品をシェア

pagetop