プリキス!!
「今日は、どのようなご要件でしょうか?」
「貴方にじゃないのよ。……西巴君か橘君はいらっしゃる?」
「えっと……奥にいます。呼んできましょうか?」
「お気遣いありがとう。でも結構よ。」
私は天音の方を向いて、自分が持ちうる最大限の笑顔を向けた。
「天音。あそこに初伊を危険から遠ざけなかった役立たず共がいるわ。」
「うん、分かったよ。」
天音は私の意図を汲んだらしい。
彼は音楽準備室と書かれた部屋の扉を、思いっきり飛び蹴りして、ドアはバタンと倒れた。
「まじかよ……カナ女が……。」
「でも……しびれる蹴りだな……。いい女だ。」
口々に不良達は天音を褒めて頬を染めた。
でも残念、あれは男で、私のよ。
「あーもうっ……誰だよドア蹴破った奴!」
「私だよ。こんにちは、橘君。久しぶりだね。」
「……!?」
北原先輩?!と驚く橘君に天音が回し蹴りをしたのは、それからすぐの事。
「……危ないじゃないですか。」
「やっぱり当たらないか。さすがマフィアの跡継ぎだ。」
天音がそう言った瞬間、橘君は……微笑んだ。
「北原天音……それ、禁句。行成切れると面倒なんだ。黙ってよ。」
そして、部屋の奥から出てきたのは
熱さまシートを額につけた、西巴だった。