プリキス!!






「二人とも、こんな所で喧嘩しないで下さい!この部屋は使えないから、要件は空き教室で。」




橘君が止めたのだった。




橘行成。



黒い髪にきっちり着こなされた制服。

顔は平均。身長も平均。

至って普通の、しっかり者の男子生徒に見えるけれど実情は香港系マフィアのボスの跡取り。


人は見かけによらないの代名詞とも言える彼。


危険人物には違いないし、天音は初伊に凄く甘から相当警戒してるけれど、私はそこまで苦手ではない。




橘君に騒いでしまってごめんなさい、と謝ってから西巴の制服の首元をぐいっと引っ張る。





「で、貴方がその額につけているのは熱さまシートよね。熱でもあるの?」


「ない「さっき38.2分ありました。」」







……さすがに高熱がある男に文句を言う気にはなれないわ。






「天音、少しの間西巴君と一緒にいてくれないかしら。橘君、話があるの。」



風邪かなぁ、と首を傾げる天音に私は西巴を託す事にした。



「あ、はい。じゃあ隣で。「待って。」」







「……北原天音も連れていってくれない?気を使って休めない。」


「ああ、はいはい。志乃、お供するよ。」





嫌われてるよね、と天音は苦笑いをした。





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